2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20031006
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関 宏子 Chiba University, 分析センター, 准教授 (60114245)
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Keywords | NMR / 緩和時間(T_1, T_2) / イオン液体 / 溶液動態 / コンタクトシフト |
Research Abstract |
今まで、1-alkyl-3-methylimidazolium halide[C_nmim]Xを中心にアルキル鎖の長さと相転移の関連性などの解明を試みてきた。今回は、相転移と分子局部の運動性との関連性、結晶化の特異性の追求と、アニオンの違いによる物性の違いを検討した。試料として、1,3-dimethylimidazolium([C_1mim])カチオンとbis(trifluoro methylsulfonyl)amide、(CF_3SO_2)_2N(NTf_2と略記)アニオンとbis(pentafluoro ethylsulfonyl)amide、(CF_3CF_2SO_2)_2N(NPf_2と略記)アニオンを組み合わせたイオン液体のNMR実験を遂行した。また、常磁性イオン液体におけるカチオンーアニオン相互作用について、溶媒を変えた場合の変化を検討した。 1.[C_nmim]Br(n=2,3,4)の緩和時間からの検討結果、[C_4mim]Brは降温過程で結晶化しないが昇温過程で結晶化するのに対して、[C_2mim]Brでは降温過程で結晶化する。これは、^<13>Cの相関時間に現れるような各グループ間の運動性の差が大きく影響していると結論した。 2.[C_1mim]NTf_2と[C_1mim]NPf_2のアニオンの違いによる物性の違いを検討した。両者は結晶化の状態が大きく異なっており、アニオンの運動性やサイズが影響していることが示唆された。 3.常磁性イオン液体のコンタクトシフトのCD_3CNとCD_2Cl_2の溶液における濃度依存性を検討した。Feの常磁性をプローブとすることで、イオン液体のアニオン-カチオン相互作用のみでなく、カチオンの挙動も観測できることが示唆された。 4.[C_4mim]Brと[C_4mim]PF_6のいずれも降温過程では結晶化しないが、昇温過程で結晶化する。その結晶化の時間が、非常に遅いことが判明した。
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