2008 Fiscal Year Annual Research Report
触媒機能を有するイオン液体固定型ヨードアレーンの有機合成化学的展開
Project/Area Number |
20031007
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
東郷 秀雄 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (60217461)
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Keywords | イオン液体 / ヨードアレーン / 触媒 / 再利用 / 複素環 / アミド / ニトリル / ケトン |
Research Abstract |
ヨウ素は、生体微量必須元素(第13番目)であり、X線造影剤、うがい薬(イソジンなど)、環境消毒剤として日常に広く用いられているばかりでなく、他の元素には見られない非常に多種多様な化学的変換機能を有するため、有機合成化学的価値が非常に高い元素です。一方、イオン液体は有機塩であり、液体でも蒸気圧、引火性、可燃性が非常に低く、高い熱安定性及びイオン伝導性をもち、エーテルなどの有機溶媒に溶け難いため、極めて理想的な再利用型反応場として近年大きく注目されています。本研究の目的は、このヨウ素の優れた化学的変換機能とイオン液体の機能を連動させたイオン液体固定型ヨードアレーンを開発し、高極性反応場を兼ねた再利用型触媒として、種々のケトン及びアルコール類から、対応するα-トシロキシケトン類の直接合成を遂行するとともに、種々の複素環類の触媒型ワン・ポット合成を確立することにあります。これにより、イオン液体という極性反応場とヨードアレーンという触媒反応部位を活用した触媒的複素環合成が可能となり、種々の医薬品や機能材料の基盤となる複素環構築反応が飛躍的に簡易効率化できます。このことは、反応溶媒や精製溶媒などの廃棄物の劇的削減が可能となり、プロセス化学的視点からも大きな展望が開けます。本年度は酸化剤としてmCPBA(m-クロロ過安息香酸)、触媒として種々のイオン液体固定型ヨードアレーンを合成し、スルホンアミド類からベンゾスルタム、ケトンとニトリルからオキサゾールの合成を検討した結果、効果的に反応が進行し、反応混合物から目的物の単離精製が容易となることが分かった。また、用いたイオン液体固定型ヨードベンゼンの再利用を検討した結果、3回程度までは高収率を維持できることも分かった。
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