2008 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体母核への側鎖の導入と側鎖の変換反応に関する研究
Project/Area Number |
20031009
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 雄一 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (90153650)
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Keywords | 光学活性 / 不斉合成 / イミダゾール / ピリジン / アリルピコレート / アリル化反応 / リチウムアニオン / ホスラクトマイシン |
Research Abstract |
側鎖上に不斉炭素をもつイミダゾールやピリジン誘導体を効率よく合成する方法の開発と分子内にイオン性部位をもつホスラクトマイシン類の合成を行った。 (1)我々は最近, Grignard試薬(RMgX)とCuBr・Me_2Sから調製した銅試薬と光学活性な第2級アリルピコレートとのantiS_N2'選択的アリル化反応を開発しており, この反応を活用した。この際, イミダゾールやピリジンからGrignard試薬を調製することは困難であるため, 直接リチオ化やハロゲン・リチウム交換によって容易に調製可能なリチウムアニオンを用いて検討した。まず, 予備実験としてPhLiとCuBr・Me_2Sから調製した銅試薬を用いてアリル化反応を検討したところ, 反応は遅く, 目的物とピコリン酸基の外れたアルコールとの混合物を生じた。しかし, これにMgBr_2を加えると目的の反応が加速され, かつanti S_N2'生成物のみを効率的に生成した。次に同条件下, N-メチルおよびN-ペンジル・イミダゾールから調製したリチウムアニオンについて検討したところ, いずれの場合も効率よく反応し, 相当するanti S_N2'生成物を与えた。不斉転写率は>95%以上であった。これらのanti S_N2'生成物をMeIもしくはBnBrを用いて4級化するとアモルファスもしくは固体状のアンモニウム塩(カウンターアニオンはBr^-, I^-)が得られた。次に, これらの塩のカウンターアニオンをN(Tf)_2に置き換えると, 液状化合物に変化した。つぎに, プロモピリジンをリチオ化して調製したピリジルリチウムを用いて同様の反応を行った。この場合もアリル化反応は効率的に進行した。続いて, 4級化とカウンターアニオン交換を行い, 液状のピリジル塩を合成することができた。 (2)ホスラクトマイシン類の合成では光学活性な六員環パートをキナ酸から合成した。この方法はステップ数と収率の点で不斉Diels-Alder反応を上回っていた。そして, ホスラクトマイシンI-jの合成を完成することができた。
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Research Products
(5 results)