2008 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体による有機金属触媒のソフト固定化法の開発
Project/Area Number |
20031011
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
萩原 久大 Niigata University, 自然科学系, 教授 (20006331)
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Keywords | イオン液体 / SILC / 固定化 / 有機金属触媒 / 固体担体 |
Research Abstract |
Grubbsによって開発されたRuカルベン錯体は、従来法ではきわめて困難であったオレフィンメタセシス反応に絶大な威力を発揮する。この触媒は中性条件下二重結合とのみ反応し、他の官能基に影響する事も無く影響される事も無い。特に、従来困難とされていた大環状化合物の合成を行える点に特徴がある。そのため、現代の有機合成化学の方法論を一変させた触媒として、'有機化合物のみならず高分子合成などの分野でも用いられている。しかしこの素晴らしいGrubbs触媒にも、不安定である事、触媒回転数が低い事、リサイクル性の無い事、分子量が大きい事、高価格である事などの問題点がある。本研究では、これらの諸問題、なかでも触媒活性の維持とリサイクル性の発現を解決するため、Grubbs触媒のSILC化(Ru-SILC)とオレフィンメタセシス反応への展開を目的とした。SILC法は、イオン液体で液相固定化した均一系有機金属触媒をさらに無機固体担体に固定化する方法であり、これまでPd触媒の固定化に大きな威力を発揮してきたソフトな触媒固定化法である。Grubbs触媒の固定化条件を種々検討した結果、無定形の塩基性アルミナにイオン液体[hmim]PF_6を用いて固定化する事が出来た。さらにRu-SILCを用いメタセシス反応条件を検討した結果、ベンゼン中でのジアリルマロネートの5員環閉環メタセシス反応において、少なくとも6回のリサイクル使用を実現し、耐久性の改善に大きく貢献した。触媒回転数は、比較的大きな150を示した。また、これまでの固定化Ru触媒と異なり、5あるいは7などの小員環化合物のみならず14, 15, 16などの大環状化合物の合成にも適用可能であった。このRu-SILCの大環状合成能を利用して、ジャコウシカの分泌物で医薬および香料成分として貴重な15員環ケトンである光学活性ムスコンの全合成に成功した。
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[Journal Article] Sustainable Conjugate Addition of Indoles Catalyzed by Acidic Ionic Liquic Immobilized on Silica2008
Author(s)
Hagiwara, H., Sekifuji, M., Hoshi, T. Suzuki, T. Quanxi, B., Qiao, K., Yokoyama, C
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Journal Title
Peer Reviewed
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