2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波、超音波等を利用する揺らぎの大きい反応場の解明
Project/Area Number |
20031016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八尾 誠 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (70182293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大政 義典 広島工業大学, 工学部, 准教授 (30301229)
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Keywords | イオン液体 / 超音波 / マイクロ波 / 表面張力波 / ドメイン構造 / 粘弾性 / 動的光散乱 / 誘電的性質 |
Research Abstract |
室温イオン液体の特徴は、メゾスケールのドメイン構造を有することである。即ち、イミダゾリウム系イオン液体の場合には、正電荷が陽イオンのリング部分に局在しているため、その正電荷部分と陰イオンが引き合って極性ドメインを形成し、一方、陽イオン中のアルキル側鎖は束になって非極性ドメインを形成していると考えられている。しかし、このようなドメイン構造がダイナミクスにどのように反映されるのか、未解明であった。我々は、超音波測定を通してこの問題に取り組み、新しい知見を得た。即ち、典型的な種々のイオン液体について、超音波吸収の3周波数同時測定を、室温から140℃程度の温度まで系統的に行い、通常のNewton液体では説明できない著しい周波数依存性を見出した。実験データを、3次元双連結ソフトマターに対して最近提案された理論に従い、Maxwell型の緩和を仮定して解析した結果、(1)Maxwellモデルの剛性率は陰イオン種に大きく依存するがナルキル鎖長には殆ど依存しないこと、一方、(2)緩和時間は逆にアルキル鎖長に強く依存することが判明した。次に、マクロスケールでの不均一性である表面形成と、メゾスケールの不均一性であるドメイン構造がどのような関係にあるのかを調べるために、表面動的光散乱実験を行った。表面張力波のパワースペクトルを、流体力学と揺動散逸定理から導かれる厳密な表式を用いて解析した結果、粘性および表面張力が正しく与えられることが分かった。その結果から、メゾ不均一性とマクロ不均一性の成因が異なること、クーロン相互作用のみでは説明できないことを見出し、表面過剰エントロピーの結果も合わせて、表面ではドメイン構造が緩和していると結論した。
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