2008 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体-水界面における特異な鎖形成機構の電気化学的研究
Project/Area Number |
20031017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
垣内 隆 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (20135552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 直哉 京都大学, 工学研究科, 助教 (10372567)
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Keywords | イオン液体 / 界面 / 鎖形成 / 電気化学 |
Research Abstract |
疎水性イオン液体N-Octadecylisoquinolinium tetrakis[3, 5-bis(trifluoromethyl)phenyl]borate([Cl8Iq+][TFPB-])を精製することにより、dibenzo-18-crwon-6(Bl8C6)によるアルカリ金属イオンの促進イオン移動を測定し56℃におけるアルカリ金属イオン-DB18C6の安定度定数Kの値を求めた。Li+、Na+、K+にたいする安定度定数は、K+の場合が最大でイオン半径が小さくなると減少する傾向は前回と同じであったが、それぞれ、5倍、tet 10倍、4倍、大きくなった。 イオン液体の「溶媒和」環境を変化させ、Trioctylmethylphosphonium(P8881+)を構成カチオンとする新規の疎水性イオン液体[P8881+][TFPB-]中でのアルカリ金属イオンとDB18C6の安定度を調べたところ、Li+、Na+、K+とDBl8C6との安定度定数は、それぞれ、6.5, 8.7, 9.5となった。これは、上の表1の値に比べて、それぞれ6倍、10倍、4倍大きい。これは、P8881+がCl8Iq+よりもより低極性の「溶媒和」環境を作っていることを示唆する。 これら促進イオン移動では、電荷が界面をよこぎる不均一電荷移動過程は物質輸送過程に比して十分に速く、電気化学的に可逆と見なしうる。また、このイオン移動過程に関与する化学種は界面に吸着しないと考えられる。この場合には、正味のイオン移動速度は、界面近傍の電位分布の詳細によらず、促進イオン移動過程に影響するのは両相間の電位差だけである。したがって、上記の反応に関しては、超緩慢緩和の影響はないと考えて良い。
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