2008 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本における鉄鋼製造技術の技術革新-自動車用薄鋼板の技術革新
Project/Area Number |
20032009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 光太郎 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (30161798)
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Keywords | 自動車用薄鋼板 / プレス成形 / 深絞り加工性 / 結晶集合組織 / 高強度鋼 / IF鋼 / 合金化溶融亜鉛めっき鋼板 / 薄鋼板成形技術研究会 |
Research Abstract |
フォードシステムとともに全鋼製車体の採用が自動車量産の鍵であった。全鋼製車体の生産における重要な技術はプレス成形である。その技術革新は、戦後日本において、自動車会社、鉄鋼会社、研究機関からなる共同研究組織「薄鋼板成形技術研究会」が牽引した。こうした基礎研究の中で、低炭素鋼板の再結晶集合組織形成に関する知見は、その後の深絞り用薄鋼板開発の指針として役立っていく。とくに当時最高の特性をもったアルミキルド鋼板において、炭窒化物析出物の影響を精査した研究開発から、チタン添加鋼が見出された。添加されたチタンやニオブは鋼中の炭素や窒素と結合して実質的に侵入型元素が不在であるIF鋼(interstitial free steel)となる。このIF鋼は日本で開発された。IF鋼は高r値、低降伏点、非時効性を有し、深絞り性にも優れている。このようなIF鋼は、真空脱ガス技術の進歩やチタンやニオブの微量添加方法の改良による低コスト化の実現によって、冷延軟鋼板として多量に使用されるようになった。より高い高強度部材にはDP(Dual Phase)鋼板、TRIP(Transformation Induced Plasticity)鋼板なども使用されている。DP鋼は組織強化型の高張力鋼のひとつで、軟かいフェライト相と硬いマルテンサイト相からなるミクロ組織を有している。TRIP鋼は変態誘起塑性を利用した極めて伸びの大きな鋼である。1970年代に自動車車体の腐食が米国で社会問題化して以来、表面処理鋼板の開発が進んだ。1980年代後半になると耐食性をさらに高めるために、Zn-Ni合金電気めっき鋼板に有機薄膜被覆を施した複合鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)が使用されるようになった。
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Research Products
(2 results)