2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本における鉄鋼製造技術の技術革新-自動車用薄鋼板の技術革新
Project/Area Number |
20032009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 光太郎 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (30161798)
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Keywords | 自動車用鋼板 / 可鍛鋳鉄 / 電気炉精錬 / 鮎川義介 / 豊田喜一郎 / 戸畑鋳物 / 豊田自動織機製作所 / 豊田自動織機製作所 / トヨタ自動車 |
Research Abstract |
これまでに「戦後日本の鉄鋼製造技術の革新」を「自動車向けプレス加工用高性能薄鋼板製造技術の開発」を通して考察してきた。本年度は、その前段階である戦前日本の自動車産業の創業者たちの自動車の主要素材である鉄鋼材料への強い関心を探り、材料を重要視する日本自動車技術の礎に注目した。自動車メーカー創業者である鮎川義介と豊田喜一郎はともに東京帝国大学の機械学科を卒業し、自動車に用いる鉄鋼材料の生産から、それぞれ日産自動車とトヨタ自動車の創業へと展開していった。彼らは、鋼材の材質と品質は自動車の生産と品質に大きな関連をもつ点を重視して、自ら自動車用鉄鋼材料の開発・生産に努めた。鮎川義介は、一職工として米国に渡り工場現場で働きながら可鍛鋳鉄の重要性を学び、その国産化を志向し、北九州に戸畑鋳物を設立した。欧米先進国に先立つ電気炉による可鍛鋳鉄製造という革新技術を実現し、これによって高温精練が実現でき、鋳鉄のみならず鋳鋼の生産を可能にした。強靭な鋳鋼製品の自動車部品への活用の道を拓いた。豊田喜一郎は父・佐吉から贈られた資金をもとに、豊田自動織機製作所の中に研究室を設けて、自動車の研究開発を開始した。豊田自動織機の定款に「原動機及び動力運搬機械の製作販売」とともに「製鉄、製鋼其の他精錬の業務」を加えて、自動車製造とともに自動車用鋼材の製造に参入した。製鋼など自動車用素材を本来業務として定め、製鋼部には材料試験室を設け、鋳鉄生産を研究開発し、電気炉精錬によって普通鋳鉄の切屑切粉が高級鋳鉄にできる技術に見出し、コスト削減につながる成果をあげた。この成功は自動車産業進出への重要なステップであった。
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Research Products
(6 results)