2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳幹-中脳-基底核におけるやる気の生成、強化学習機構の解明
Project/Area Number |
20033013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 康 Osaka University, 生命機能研究科, 准教授 (60311198)
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Keywords | saccade / reinforcement learning / monkey |
Research Abstract |
近年,報酬に基づく強化学習の神経生理学的研究の発展には、自律的に行動するロボットの開発、教育現場への応用、神経生理学に基づく新しい経済学理論の創発等に対して非常に強力なインパクトを与えるという期待の強まりをうけて,広い分野から注目が集まっている。強化学習理論では予測される報酬と実際に得られた報酬の差(報酬予測誤差)がどうやって計算されるかということが実験的、理論的に最も重要な問題の一つであると思われる. 脚橋被蓋核(PPTN)は脳幹のもっとも主要なアセチルコリン性細胞の核であり, 古くから睡眠覚醒の調節, 運動制御, 注意や学習と関係が深いと考えられてきたが、本年度本研究者はPPTNからの入力信号が, 報酬予測誤差信号生成に重要な役割を果たしていることを示唆する生理実験データを得た。PPTNのニューロン活動が「報酬の予測」あるいは「実際に与えられた報酬」のどちらかの情報に関与することが明らかになった。また、PPTNが符号化しているそれぞれの報酬関連活動は計算理論で予言されている、DAcellにおける報酬予測誤差の主要な要素である、「興奮性の報酬信号」、「興奮性の報酬予測のワーキングメモリー」に相当していると思われ、当該研究によってPPTNの報酬予測誤差信号生成への重要性が確かめられ、報酬予測誤差の計算過程の最も重要な部分にメスを入れることができた。
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Research Products
(4 results)