2009 Fiscal Year Annual Research Report
ばらつきを許容する生体の運動計画とその実現アルゴリズム
Project/Area Number |
20033014
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西井 淳 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00242040)
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Keywords | 二足歩行 / UCM解析 / Bernstein |
Research Abstract |
生体は高い自由度を活用することによって様々な環境に柔軟に対応することができる.本研究では,(1)生体がこの自由度の活用をどのように行い,(2)どのように多自由度の運動を獲得しているかを以下のように考察した. (1) ヒトの歩行における脚関節運動を解析することによって、冗長な関節自由度に対する拘束が歩行運動の各瞬間にどのように生じているかを調べ、以下の二点を明らかにした。第一に,脚を前に振り出す際の足先が最も床と近付く瞬間には,その足先の高さが関節間協調を使って調整されている。この結果は,ヒトは関節間協調を活用してつまずきを防いでいる事を示唆する。第二に,片足支持期終期から両脚支持期にかけては,立脚側は関節間協調を活用することで腰の高さと速度が調整され,遊脚側は脚姿勢および関節角速度のばらつきを抑えるような調整がなされている。すなわち衝撃を伴う接地においては両脚が協調的に働くことで,足先速度のみならず足先位置も調節して歩行の安定化が図られていることが明らかになった。さらにニホンザルの二足歩行の解析も行い,上記の二点についてはほぼ同じ特徴を示すことがわかった。 (2) Bernsteinは,ヒトは運動学習初期には関節スティフネスを高くして自由度を拘束することにより学習を促し,習熟とともに自由度を解放してより巧みな運動を獲得していると指摘した。本研究ではこのようにパラメータ(自由度)毎に異なる時間スケールで学習を行うことで学習の効率化を図れることを,冗長アームで到達運動を行う場合等を具体例として示した。
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