2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20033015
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
辻 瑞樹 University of the Ryukyus, 農学部, 教授 (20222135)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 研 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (50313424)
山岡 亮平 京都工芸繊維大学, 大学院・工芸科学研究科, 教授 (00111948)
|
Keywords | 昆虫 / 行動学 / モデル化 / 知能ロボティックス / 進化 / 信号物質 |
Research Abstract |
個体としては非力なアリが集団として高い機能を発揮するのはなぜか。超個体としてのアリのコロニーには個体の脳・神経ネットワークに相当する固定的な情報伝達処理システムは存在しない。かわりに、コロニーを構成する個体が移動しながら局所的情報に対し単純なルールに従い反応しているだけである。にもかかわらず適切に制御されるのは、これまでの研究によれば、ルールに内在するフィードバック機構が社会全体を「適応的状態」に自己組織化するからである。本研究では、まず(1)アリがコロニーサイズに依存し適切に行動を切り替える化学生態学的基盤と自己組織化的制御機構の解明を行い、つぎに(2)そのようなシステムを自然発生させた進化力学的機構の考察を目的とした。最終年度の本年度はこれまでの成果を取りまとめ、発表につとめた。まず、コロニーサイズの変化に反応し女王やワーカーがどう行動や内部状態を切り替えるのが自然選択上生き残る戦略なのか、集団遺伝学的な数理モデル(動的ゲームモデル)を発表した(Ohtsuki & Tsuji 2009)。その結果、単女王性女王1回交尾下でもワーカー間の相互産卵監視行動が進化しることが予測されたが、これは従来の理論とは異なる予測である。このモデルが予測するワーカー産卵およびその監視行動のコロニーサイズ依存性をトゲオオハリアリ(Kikuchi et al. 2008)でテストした。結果はモデルの予測(大コロニーではワーカー産卵が制御されないのが適応的)を強く支持するものであった。また、個体間接触で伝達される局所情報に依存した行動の切り替えに関する自己組織化モデルを立て、トゲオオハリアリでテストしに。モデルの予測は実アリのコロニーサイズ依存的行動をよく説明した。その一方で、省エネルギー的な個体の行動規則と、個体の内部状態を伝える信号物質としての炭化水素の存在が実験的に証明された。
|
Research Products
(18 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] Ovarian development and insulin-signaling pathways during reproductive differentiation in the queenless ponerine ant Diacamma sp.
Author(s)
Okada, Y., Miyazaki,S., Miyakilwa, H., Ishikawa,A., Tsuji, K., Miura, T
-
Journal Title
Journal of Insect Physiology (印刷中)
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-