2008 Fiscal Year Annual Research Report
RNA干渉による1遺伝子特異的発現抑制システムの構築
Project/Area Number |
20034011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
程 久美子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50213327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 雄樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (60451829)
西 賢二 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (50466801)
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Keywords | 遺伝子 / RNA干渉 / ゲノム / バイオテクノロジー / マイクロアレイ |
Research Abstract |
私達は、哺乳類細胞で効率よくRNA interference(RNAi, RNA干渉)を誘導できるshort interfering RNA(siRNA) の配列上の規則性を検討し、非常に高い確率で有効なsiRNA配列を選択できる手法を確立した。近年、RNAi法は簡便で有効な遺伝子機能抑制法として広く利用されているが、siRNAは本来の標的遺伝子以外の多くの遺伝子に対しても意図せぬ抑制効果(off-target効果)をもたらすことが明らかとなってきて、特異性という点においてRNAi法には大きな問題点が残されている。本研究では、この問題を解消し、標的となる1遺伝子のみを特異的に抑制できるRNAi法の確立を目指している。 本年度は、siRNAの各領域の機能の違いを解析する目的で、RNAの一部をシステマティックにDNAに置換するという一連の実験を行い、遺伝子機能抑制活性における影響を検討した。その結果、ガイド鎖の5'末端側の約1/3の領域はDNAに置換しても、本来の標的遺伝子に対する抑制活性にはほとんど影響がないが、off-target効果は明らかに減弱することがわかり、off-target効果が弱いsiRNAとして有用であることを示した。また、ガイド鎖の3'側の約2/3の領域は、DNAに置換することによって、RNAi活性が消失した。これらの結果から、ガイド鎖の5'末端側の約1/3の領域には2つの機能があり、末端から1-7塩基は2本鎖RNAの1本鎖へのunwindingに関わっており、2-8塩基の部分(seed領域)は標的遺伝子の識別に関わっていると考えられる結果が得られた。さらに、siRNAのほぼ中央部に相当する9-11(あるいは13)塩基目はseed部分に続く、2次的標的認識部位として機能していることを明らかにした。一方、3'側はRLC(RISC-loading complex) およびRISC(RNA-induced silencing complex) に含まれる2本鎖RNA結合タンパクの結合部位として重要な役割を担う領域と考えられた。
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Research Products
(10 results)