2009 Fiscal Year Annual Research Report
鋸歯状の細胞可動領域を用いた細胞の長距離移動の制御
Project/Area Number |
20034015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大沼 清 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特任講師 (50396834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有泉 高史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特任准教授 (30286166)
豊田 太郎 千葉大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80422377)
小山内 実 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90286419)
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Keywords | 細胞運動 / ラチェット / マイクロコンタクトプリンティング / 反射干渉顕微鏡 / 接着班 / 葉状仮足 |
Research Abstract |
指向的な細胞運動は,組織形成,創傷治癒など重要な生命現象を担っている。細胞が移動するときは,涙型をしており,まず移動方向へ葉状仮足と呼ばれる構造が突出し,次に接着斑とよばれる細胞と基質との密な接着部位を形成する事が良く知られている。私たちは以前の報告において、細胞レベルの大きさの左右非対称な形をしたパターンを連結したマイクロチャンバー(ラチェット型マイクロチャンバー)において,細胞がチャンバーの形状に応じて一方向的に動くことが報告されたが,その詳細な機構は未解明である。 本年度は,ラチェット型マイクロチャンバー内における一方向性の細胞移動の機構を調べるため,細胞の位置と葉状仮足と接着斑を反射干渉顕微鏡(RICM)を用いてタイムラプス撮影した。RICMは,細胞-培地界面,培地-基板界面の間隙を薄膜にみたて,二つの界面からの反射光の干渉を,間隙の長さに応じて画像上に白黒のコントラストをつける顕微鏡であり,基板と密着している接着班は黒く観察されるが,接着班の近傍の葉状仮足は白く観察される。その結果,ラチェット型マイクロチャンバー中の細胞は,チャンバーのエッジ部に接着班を形成することがわかった。葉状仮足の伸展しやすさはラチェット型の双方向でほぼ同じでも,その後の接着斑は一方向へ形成確率が高く,細胞もその方向へ移動する可能性が高くなっていることがわかった。この研究の成果は,物理的な構造による細胞運動を制御法の基礎となるため,将来,創傷や手術後の組織治癒を早める特殊な絆創膏などの開発につながることが期待される。
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