2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工細胞における水やペプチドの膜透過性の解析および機能性人工細胞の構築の研究
Project/Area Number |
20034023
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山崎 昌一 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 教授 (70200665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 滋康 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (90146233)
大橋 一世 千葉大学, 理学部, 教授 (90114248)
鈴木 雅一 静岡大学, 理学部, 准教授 (60280913)
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Keywords | 生物物理学 / ナノバイオ / 一分子計測 / 膜透過性ペプチド / 水の膜透過係数 / アクアポリン / 単一GUV法 / 人工細胞 |
Research Abstract |
1. 膜透過性ペプチドのトランスポータン-10(TP-10)を合成・精製し、単一巨大リボソーム(GUV)法を用いて、それらとジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)膜のGUVとの相互作用を研究した。1mMの蛍光プローブ・カルセインを含むDOPC-GUVと4μMのTP-10を相互作用させると、GUVの破壊や大きな構造の変化なしにカルセインがGUVの内部から外部に漏れた。同様の条件で多くの"1個"のGUVとTP-10の相互作用を調べると、漏れが起こり始める時間は確率的でGUVごとに差があったが、他の漏れの特性はほぼ同じだった。調べたすべてのGUVの中で漏れが起こったGUVの確率は時間とともに増加し、このことがLUV懸濁液法で観測される全体の漏れの増加を説明できることがわかった。 2. 脂質膜のGUVを用いて水の膜透過係数を正確に測定するシステムを構築した。マイクロピペットで吸引したGUVを浸透圧の違う溶液に移動したときに生じるGUVの体積の時間変化を精密に測定し、それを理論式でフィッティングすることにより水の膜透過係数を決定した。液晶相のDOPC-GUVにおける水の膜透過係数は45±4μm/sであったが、秩序液体相のジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)/コレステロール(6/4, モル比)膜のGUVにおける水の膜透過係数は1.3±0.1μm/sであり、液晶相の膜に比べて40分の1くらいの大きさだった。この結果は、2つの相における脂質膜の物性の違いから説明できる。 3. アマガエルの下腹部皮膚に特異的に発現するアクアポリン(AQP)であるAQP-h3をカイコを用いて発現し、カラムにより精製することに成功した。
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