2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20034028
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
水野 彰 Toyohashi University of Technology, 工学部, 教授 (20144199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 和則 豊橋技術科学大学, 工学部, 准教授 (60303707)
安田 八郎 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (20200503)
栗田 弘史 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (70512177)
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Keywords | 1分子観察 / DNA-タンパク質間相互作用 / 蛍光観察 / リン脂質2重膜 |
Research Abstract |
本研究では蛍光染色したDNAを蛍光顕微鏡視野内において1分子レベルで観察・形態制御し、溶液中のDNAとタンパク質との間で起こる生化学反応をリアルタイム1分子観察することを目的としている。前年度までに溶液交換・DNAの伸張/弛緩の制御が可能なマイクロ流路の構築や、構築した実験系を用いたDNA消化反応の1分子直接観察に成功した。また、リン脂質2重膜を用いたガラス基板修飾に着目し、上記の実験系への適用に着手した。今年度はこのリン脂質2重膜の性質と1分子DNA蛍光観察の関係について興味深い実験結果を得た。これまでにリン脂質2重膜を用いるとガラス基板表面を親水的でかつDNAおよびタンパク質の非特異的吸着を抑制できることが明らかにされた。これらに加えて、DNAに結合した蛍光色素の退色が抑制されることが見出された。この結果は蛍光顕微鏡視野内において個々のDNAを連続的に蛍光観察し、その間の蛍光強度の経時変化を数値化して得られた。リン脂質2重膜を用いない場合には約2分以内でDNAの蛍光像が判別できなくなったが、リン脂質2重膜を用いると3分以上に渡って退色が認められなかった。これは蛍光観察時に発生する活性酸素種による影響が蛍光色素よりも先にリン脂質2重膜で起こっているからではないかと考えられる。通常DNAの蛍光観察には抗酸化剤などの退色防止剤を用いるが、この退色防止剤はDNA-タンパク質間相互作用を阻害する場合がある。また脂肪酸の不飽和度を変えることでより退色抑制効果の高いリン脂質2重膜を構成できる可能性もある。従って本研究で得られた結果は1分子レベルでDNA-タンパク質間相互作用を長時間観察する上で極めて有益であると考えられる。
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Research Products
(7 results)