2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20034036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大槻 高史 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80321735)
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Keywords | tRNA / EF-Tu / 非天然アミノ酸 / 蛋白質生合成 / 人工細胞 / 動物細胞 / 拡張翻訳系 / アミノアシルtRNA |
Research Abstract |
本課題では、拡張型蛋白質合成系(蛋白質へ非天然アミノ酸を導入する系)を含む細胞システムを構築すること、および、拡張型蛋白質合成系を含む人工細胞システムを構築することを目的とする。本年度は、以下について研究を行った。 1) 細胞内で非天然アミノ酸を含む蛋白質を合成するシステムの開発:細胞内で非天然アミノ酸を含む蛋白質の合成を行うため、アミノアシルtRNA(ここでは、非天然アミノ酸を担持したtRNA)の細胞内導入法を検討した。リポフェクション、マイクロインジェクション、およびエレクトロポレーション法でアミノアシルtRNAは細胞内に導入できるものの、細胞内での蛋白質合成には極めて低い効率でしか使われないことが分かってきた。この理由は、(1)アミノアシルtRNAの分解が速いため(導入操作中に、または、導入操作でダメージを受けた細胞が活発な蛋白質合成を再開するまでに、分解してしまうため)か、(2)細胞内の翻訳システムにフリーのアミノアシルtRNAが入り込むのが難しいためだと考えている。現在、(1)に対しては、アミノアシルtRNAの化学的保護および蛋白質による保護、(2)に対しては、アミノアシルtRNAと翻訳因子eEF1Aの複合体を細胞内導入すること、などの対策を行っているところである。 2) 人工細胞内で非天然アミノ酸を含む蛋白質を合成するシステムの開発:人工モデル細胞(リポソーム)中に無細胞蛋白質合成系を内包して、人工細胞内で蛋白質合成を行うようなシステムが報告されている。このシステムに、4塩基コドンを持つmRNAと非天然アミノ酸を担持したアミノアシルtRNAを加え、4塩基コドンで指定した部位に非天然アミノ酸を含む蛋白質の合成が可能であることを示した。このシステムで膜蛋白質ロドプシンに蛍光性非天然アミノ酸を導入することに成功し、これが膜に局在することも分かってきた。
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