2008 Fiscal Year Annual Research Report
抵抗変化メモリーにおける酸化物/電極界面の電気特性と酸化物内欠陥準位の相関の解明
Project/Area Number |
20035003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
喜多 浩之 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 講師 (00343145)
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Keywords | 表面・界面物性 / 電子・電気材料 / 酸化物薄膜 / 抵抗変化 / 欠陥 |
Research Abstract |
初年度は, 抵抗変化材料としてNiOに着目し, 成膜条件による膜質の変化と電気特性の変化の定量的な評価を行った。反応性スパッタリング時のAr/O_2比とチャンバー圧力を変えながら成膜したNio膜は,O_2分圧に依存して結晶性が変化しており, 高O_2分圧の条件ではアモルファス, 低O_2分圧で成膜すると結晶化し易い。これらのNiO薄膜の電気特性を調べたところ, 低O_2分圧下で成膜した試料はいずれもスイッチング特性を示し, セット/リセット動作を安定して繰り返したのに対し, 高O_2分圧下で成膜した試料は初期抵抗が小さく, 測定範囲において抵抗スイッチングが観察されなかった。従って抵抗スイッチング現象が容易に生じるために重要な因子として, (1)Ni過剰な不定比性を持つこと(Ni空孔抑制, 過剰Niに伴う欠陥形成)(2)NiOの結晶化, の2つが考えられる。 初期(スイッチング前)の電気特性について成膜時O_2分圧依存性を検討したところ, O_2分圧が低いうちは結晶化しており, O_2分圧を上げるほど抵抗値は顕著に増大するが, あるO_2分圧よりも高くなりアモルファス化した領域へと移行した途端に急激に抵抗値が小さくなった。このような急峻な変化は上記2つの因子のうちの(2)が重要な役割を持つと考えて説明される。(1)の重要性については, 既往の研究の中でも指摘されてきたことであるが, (2)の重要性は本研究において初めて指摘される点である。これは低抵抗化が細線状の導電パスによって生じ, パス形成が生じるのは粒界などの構造的欠陥が空間的に集中した場所であるとの考えを支持するものである。
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