2008 Fiscal Year Annual Research Report
極微細トランジスタ中における準弾道電子+準弾道フォノン系の統合シミュレーション
Project/Area Number |
20035007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鎌倉 良成 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (70294022)
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Keywords | トランジスタ / 熱伝導 / フォノン / シリコン / 分子動力学法 / モンテカルロ法 / バリスティック伝導 / シミュレーション |
Research Abstract |
チャネル長の極めて短いMOSFETにおいては, ドレイン内部での電子-フォノン非弾性散乱が電流量を決定付ける重要な因子であることが指摘されてきたが, フォノン系の非熱平衡分布を考慮した詳細な解析は行われていない. 本研究では, 本領域のフォノン分布を分子動力学法に基づき正確にシミュレートし, 得られた知見をナノスケール電子輸送シミュレータと結合することで, より現実的な非平衡フォノン存在下における準弾道電子伝導の機構を理論的に明らかにする. 本年度は、統合シミュレーションの要素技術の準備として、 (1)早大チームが有する原子間相互作用モデルによるフォノン解析 (2)同モデルによる熱輸送シミュレーション (3)フォノンに対するボルツマン輸送方程式を直接解くモンテカルロシミュレータの開発に取り組んだ。(1)の調査では、バルクSiのフォノン分散関係がほぼ正確に再現できることが確認され,(2)のシミュレーションではSiO_2膜で覆われたSiナノ構造体とバルクSiとで熱輸送速度に違いが現れるところまで確認できた.更に(3)で開発したシミュレータでナノデバイス中の格子温度分布を計算した結果、フーリエ則に基づく従来の古典的熱拡散方程式による計算結果との間に明確な差異が認められた。フォノンの平均自由行程および緩和時間以下の空間/時間的スケールではもはや単純な拡散的熱伝導の概念は成立せず,準弾道的なフォノン伝導の考慮が必須であることが明らかとなった。
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Research Products
(23 results)