2009 Fiscal Year Annual Research Report
LSIプロセスによりシリコン結晶に導入された結晶歪の精密分布測定に関する研究
Project/Area Number |
20035012
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小椋 厚志 Meiji University, 理工学部, 教授 (00386418)
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Keywords | 半導体物性 / マイコロナノデバイス / 物性実験 |
Research Abstract |
Si LSIデバイスにおいて意図的な歪導入技術(歪Si技術)は効果的に用いられMOSFETの性能向上に貢献している。本研究では、歪の精密分布測定を行うことでデバイス特性向上のための歪Si技術の成熟に貢献することを目的としている。 前年度に引き続きラマン分光測定装置のさらなる高空間分解能化に取り組み、2つの手法で進捗を得た。その一つはピーク分離法である。前年までに圧縮応力ストレスライナーおよび埋め込みSiGeの効果で極めて高い電気特性を持つpMOSFETのチャネル内の歪分布測定し、大きな歪が導入されるメカニズムを明らかにして、デバイス特性との対応を得た。本年は、ラマンスペクトルが本質的に励起光照射領域の情報をすべて含んでいることに着目し、スペクトルからチャネル歪のみを抽出する方法を確立した。この手法により極微細デバイス(ゲート長30nm)のチャネル歪の測定に成功した。結果として約2.5GPaの圧縮応力がpMOSFETのチャネル領域に導入されていることが明らかになった。 ラマン分光測定の高分解能化の第2の手法は液浸レンズの採用である。NAが高いレンズを用いることで空間分解能の向上を達成した。NA=1.4で、b(1/e2の強度のhalf width)=200nmを得た。さらに、高NAレンズを用いることにより、励起レーザのZ偏光成分が増大する。これにより、従来のラマン分光法では不可能であった異性2軸応力評価の可能性を提示した。 本研究ではさらに、Siデバイスで最も重要な構成要素であるSiO2膜に注目した。UV/可視ラマン分光法を用いることにより超平坦SiO2/Si界面の応力評価を行った。極界面近傍ではSiとOの結合状態に起因した圧縮応力を確認した。一方、内部では逆に引っ張り応力であった。これは、SiとSiO2の熱膨張係数差によるものである。 その他各種Si LSIプロセスにおける歪評価を、主にラマン分光法を用いて評価を行い、ラマン分光法の有用性を示すと同時に、プロセス歪に関する様々な知見を得た。
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