2008 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ベース・スピントロニクス素子の電子状態と電気伝導特性
Project/Area Number |
20035015
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
伊藤 博介 Kansai University, システム理工学部, 准教授 (00293671)
|
Keywords | スピンエレクトロニクス / 半導体物性 / 磁性 |
Research Abstract |
1. GeおよびSi基盤上にエピタキシャル成長可能な強磁性体Fe_<3-x>Mn_xSiの電子状態・磁性(九大・宮尾グループとのA01班内連携研究) 原子数4〜128個のスーパーセルに対して密度汎関数理論に基づいたバンド計算を行い, Fe_<3-x>Mn_xSiの電子状態・磁性がMn組成xや格子歪みによってどう変化するのかを調べた。この結果, Fe_<3-x>Mn_xSiにおいては比較的幅広いMn組成xでスレーター・ポーリング則が成り立ち, ハーフメタル的な電子状態が実現していることが明らかとなった。また, 計算に2軸性の格子歪みを取り入れ, 数%程度の格子歪みは状態密度のスピン偏極率に大きな影響をもたらさないこと, 実験において室温強磁性を示す試料は90%以上の高いスピン偏極率を有すると予想されることを示した。 2. Fe/GaAs(001)エピタキシャル接合における界面電子状態とスピン注入 Fe/GaAs(001)接合に対してバンド計算を行い, 接合界面に共鳴状態が形成されること, 界面構造によって共鳴状態の形成のされ方が大きく異なることが明らかとなった。この結果をタイト・バインディング模型に取り入れ, ショットキー障壁を通り抜けるトンネル電流をリカーシブ・グリーン関数法に基づくコンピューター・シミュレーションにより調べた。これにより, 界面共鳴状態がFe/GaAs(001)接合における注入電流のスピン偏極率に大きな影響を与えること, 注入電子のエネルギーに依存してスピン偏極率の符号が変化すること, さらにはこの性質を利用することで電圧駆動スピン・スイッチ素子が実現可能であることを示した。
|