2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20036002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
喜多村 昇 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (50134838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石坂 昌司 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (80311520)
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Keywords | レニウム6核錯体 / d・π・p軌道 / 励起物性 / 白金錯体 / アリルホウ素 |
Research Abstract |
金属六核クラスター錯体およびトリアリールホウ素誘導体の励起状態の詳細を明らかにする研究を行った。まず、レニウム(III) クラスターおよびMo(II) クラスターの液体ヘリウム温度から室温にわたる温度範囲において発光スペクトルおよび発光寿命解析を行い、その解析から、クラスター錯体の発光状態である励起三重項状態のスピン副準位パラメータを決定した。両クラスターともに励起三重項状態は4つにスピン副準位に分裂しており、温度によって各副準位の寄与が異なるために、発光スペクトルおよび発光寿命に大きな温度依存性が現れることを示した。また、両クラスターともに正八面体近似においては、励起三重項状態は3つのスピン副準位から成ると予測されるが、実際には、低温領域における構造歪みにより副準位が分裂する結果、計4つの副準位により励起状態が記述できることを明らかにした。また、モリブデンクラスターについては、固体中における励起状態の性質は対カチオンに依存することが見出され、今後、詳細な研究が必要となることが分かった。 一方、ホウ素架橋型配位子を有する発光性の遷移金属錯体の創製を目指し、種々のアリールホウ素誘導体ならびにアリールホウ素部位を有するシクロメタレート型配位子とその金属錯体の合成と測定を行った。三重結合部位を有するアリールホウ素は強発光性であること、ホウ素グループを配位子中に有するシクロメタレート型イリジウム錯体はホウ素部位の存在により励起状態が安定化することを明らかにした。
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