2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機14族元素化合物と金属触媒からなる元素相乗系の構築と精密有機合成への利用
Project/Area Number |
20036010
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
三浦 勝清 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (20251035)
|
Keywords | 有機ケイ素化合物 / 有機スズ化合物 / 白金触媒 / インジウム触媒 / 炭素-炭素結合形成 / トランスメタル化 / ビニルシラン |
Research Abstract |
本研究では、比較的安定で入手容易な有機ケイ素化合物や有機スズ化合物を白金やインジウム触媒により活性化し、高効率的な炭素-炭素結合形成に利用することを目的とする。特に、トランスメタル化反応を鍵段階とする、これまでにない新奇な位置および立体選択性を有する合成反応の開発を目指した。白金触媒によるビニルシランの求核付加反応について検討した結果、助触媒としてヨウ化マンガンを用いると脂肪族アルデヒドのビニル化も比較的効率よく進行することがわかった。反応機構に関する知見を得るために、二種類のビニルシランを用いるクロスオーバー実験を行ったところ、クロスオーバー生成物が得られ、ケイ素-白金交換過程を含む反応機構が示唆された。残念ながら、ビニル白金や白金カルベン中間体を直接的あるいは間接的に検出することはできなかった。アルデヒド以外の求電子剤との反応について検討した結果、アセタールを用いてもビニルシランのβ位で求核反応が進行した。以上のように、白金触媒と金属ヨウ化物を用いることで、これまでにはなかった形式の反応が効率よく進行することがわかった。白金触媒を利用して、さらにビニルスタンナン、アリールシラン、アリールスタンナンの求核付加反応について検討したが、良好な結果は得られなかった。そこで、インジウム触媒による有機ケイ素反応剤や有機スズ反応剤のアルキンへの付加反応について検討した。その結果、シリルエノラートのアルキンへの分子内付加反応や、アリルスタンナンのアルキンへの分子間付加反応が効率よく進行することがわかった。これらの反応については、21年度に詳細に研究する予定である。
|