2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20036011
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上野 圭司 Gunma University, 大学院・工学研究科, 教授 (20203458)
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Keywords | ガリウム / 不飽和結合 / ガラン / シグマ錯体 / 反応 / 金属錯体 / 光反応 / 逆供与結合 |
Research Abstract |
(1)ジクロロガリル鉄錯体Cp*Fe(dppe)GaCl_2(Cp*=η^5-C_5Me_5,dppe=Ph_2PCH_2CH_2PPh_2)とK_2[Mo(CO)_5]との反応によって、ガリウム架橋鉄モリブデン錯体Cp*Fe(dppe)GaMo(CO)_5の合成に成功し、各種スペクトルおよび元素分析によって同定した。また、この錯体の結晶構造解析を行い、その構造パラメータを明らかにした。今年度、モリブデン錯体の合成に成功したことによって、Cp*Fe-Ga-M骨格を持ち、Mが6族遷移金属であるすべての錯体Cp*Fe(dppe)GaM(CO)_5(M=Cr,Mo,W)を合成したことになる。現在、Cp*W-Ga-Fe骨格を有する錯体の合成を行っているが、生成は確認されるものの、単離には至っていない。 (2)初めてのガリレン移動反応を見いだした。例えば、Cp*Fe(dppe)GaW(CO)_5とFe(CO)_5との反応では、金属置換ガリレン配位子Cp*Fe(dppe)GaがFe(CO)_4からW(CO)_5に移動して、Cp*Fe(dppe)GaFe(CO)_4が生成する。また、ガリウム架橋錯体間でのガリレン交換反応が起こることもわかった。現在、これらの反応の反応条件、反応機構などを検討している。 (3)ガランσ錯体(CO)_5W(H_3Ga・lut)(lut=3,5-ルチジン)にキヌクリジンを加えると、キヌクリジンがルチジンを置換して、(CO)_5W(H_3Ga・quin)(quin=キヌクリジン)が生成することを明らかにした。また、(CO)_5W(H_3Ga・lut)を熱分解すると、ヒドロガリレン配位子HGaが2つのタングステンフラグメントを架橋した二核錯体が得られた。結晶構造解析の結果、この錯体は、W-Ga二重結合とGa-H-W三中心二電子結合を同時に含む、興味深い構造を持つことが明らかになった。
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