2008 Fiscal Year Annual Research Report
特異な構造と機能をもつ有機ケイ素クラスター化合物の研究
Project/Area Number |
20036012
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
久新 荘一郎 Gunma University, 大学院・工学研究科, 教授 (40195392)
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Keywords | π単結合 / テトラフェニルポルフィリン / 一重項酸素 / 光線力学療法 |
Research Abstract |
本年度は以下のようにπ単結合をもつ14族元素化合物の合成、構造、性質の研究とシリル置換テトラフェニルポルフィリンの光化学的性質と応用に関する研究を行った。 二重結合はσ結合とπ結合によって形成されるが、最近、我々はσ結合を伴わない14族元素-14族元素π単結合が存在することを見出した。この結合は1, 2, 2, 3, 4, 4-ヘキサ-tert-ブチルビシクロ[1.1.0]テトラシラン1およびゲルマン2の橋頭位間に存在しており、X線結晶構造解析の結果、結合長は化合物1では2.849A、化合物2では3.127Aと著しく長くなっていることがわかつた。また、このπ単結合は二重結合のようにσ結合の束縛を受けないので、ビシクロ[1.1.0]ブタン環の2, 4位の元素を変えることによってπ結合の結合長制御が可能になることがわかった。 光機能性色素であるテトラフェニルポルフィリンの機能向上のためには、光の吸収がより効率よく起こるようにすることが必要である。この目的のためにフェニル基に種々のシリル基が置換したテトラフェニルポルフィリンの合成を行い、光化学的性質を検討した。その結果、シリル基が置換するとテトラフェニルポルフィリンの紫外可視吸収スペクトルにおけるSoret帯及びQ帯の分子吸光係数は増大し、特にトリス(トリメチルシリル)シリル基が置換したものはテトラフェニルポルフィリン誘導体の中で最も大きな値をとることがわかった。 また、テトラフェニルポルフィリンを光増感剤として酸素存在下で光照射すると一重項酸素が生成し、その量子収率は058であるが、シリル基が置換すると一重項酸素生成の量子収率が向上し、例えばトリメチルシリル基が置換したものでは0.77になる。このような高効率光増感剤はがんの光線力学療法への応用が期待されており、現在、細胞を用いた研究を共同研究として進めている。
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Research Products
(5 results)