2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20036013
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
石井 昭彦 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (90193242)
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Keywords | セレン / 硫黄 / ゲルマニム / 白金 / ヒドリド錯体 / メタラサイクル / ヒドロセレネーション |
Research Abstract |
1. ジベンゾバレレンセレノール(DbbSeH)とPt(nb)(PPh_3)_2(nb=ノルボルネン)の反応により, ヒドリド錯体PtH(SeDbb)(PPh_3)_2が得られた。これを還流トルエン中で加熱したところ, Dbb基のアルケン部位へのヒドロプラチネーション生成物および2種類の置換生成物(アルケンC-Hおよび芳香族C-Hの活性化生成物)の3種類の環化生成物を得た。重水素化したヒドリド錯体を用いた実験により, ヒドロプラチネーションはsyn付加であることを確認した。 2. ヒドリド錯体PtH(SeTrip)(PPh_3)_2(Trip=9-トリプチシル)とアセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD)およびプロピオール酸メチルとの反応でば, ヒドロセレネーションがsynの立体化学で起こり, 付加体がそれぞれ24%, 36%の収率で得られた。PtH(SeTrip)(PPh_3)_2とDMADとの反応をPPh_3存在下で行うと付加体は生成せず, PtH(SeTrip)(PPh_3)2_からのPPh_3配位子の解離が鍵になっているという新しい知見を得た。 3. トリプチセンチオール(TripSH)とPt(nb)(PPh_3)_2あるいはPtCl_2(dppe)-NaBH_4との反応によりそれぞれ対応するヒドリドーチオラト錯体を高収率で合成することに成功した。PtH(STrip)(PPh_3)_2をトルエン中100℃で加熱したところ, 対応するチアプラチナサイクルが生成したが, DMADとの反応では付加体は生成せず, TripSHの還元的脱離が優先することがわかった。 4. 第一級ゲルマンであるトリプチシルゲルマン(TripGeH_3)とPt(C_2H_4)(PPh_3)_2あるいはPtCl_2(dppe)-NaBH_4との反応により対応するゲルミル-ヒドリド錯体PtH(GeH_2Trip)(ligand)を得ることに成功した。 以上のように, 嵩高い置換基の立体保護効果を利用することにより, 白金(0)錯体とヘテロ原子-水素結合の酸化的付加生成物が安定に得られることを明らかにした。
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