2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規な分子空孔の設計に基づく含カルコゲン元素相乗系化合物の創製
Project/Area Number |
20036016
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤 敬 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70262144)
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Keywords | 有機元素科学 / 酵素モデル / 硫黄化合物 / セレン化合物 / ヨウ素化合物 / ヨウ化セレネニル / ヨウ化スルフェニル / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
生体内では、複数の高周期典型元素の相乗効果が機能の発現に重要な役割を果たしている例が多く見られる。しかし、高周期典型元素相乗系化合物の中には、人工系では二量化や不均化、自己縮合などを起こしやすいために不安定な化学種が多くある。本研究では、このような化学種を安定化するための反応場として独自に設計したナノスケールのボウル型分子キャビティを開発し、元素相乗系化合物の中でも高周期カルコゲン-ハロゲン間の結合を含む高反応性化学種の合成、構造、および反応性について検討することを目的とした。ハロゲン化セレネニルのうちヨウ化セレネニル(RSeI)は非常に不安定であり、速やかにジセレニドおよびヨウ素へと不均化するため、反応性の解明は従来困難であった。今回、ボウル型立体保護基を有する安定なヨウ化セレネニルを用い、酵素反応の観点から重要なジョードフェノールとセレノールの反応機構について検討した。その結果、ジョードフェノールのケト型異性体ヘセレノールが求核攻撃する機構が示唆された。また、システインやセレノシステインのモデルとしては、一級アルキル基をもつチオールやセレノールが最も適切と考えられるが、立体保護効果の低い一級アルキル基を用いた活性種の安定化は従来困難であった。今回、官能基から離れた周縁部がかさ高くなっているボウル型分子の特徴を活用し、新規な一級アルキル立体保護基を開発した。この置換基をもつヨウ化スルフェニルを安定な結晶として合成・単離し、一級アルキル基をもつヨウ化スルフェニル(RSI)としては初めて、結晶構造解析に成功した。
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Research Products
(10 results)