2008 Fiscal Year Annual Research Report
多重活性化中間体の発生と多量化を鍵とする機能性有機元素化合物の開発
Project/Area Number |
20036021
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
坂本 健吉 Shizuoka University, 理学部, 教授 (50187035)
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Keywords | 多重活性化中間体 / 炭素-スズ三重結合 / スタンニレン / カルベン / C-H挿入反応 / 有機元素化学 |
Research Abstract |
本研究において我々は多重活性化中間体の考えを応用し、高い反応性を有する炭素の二価化学種(カルベン)と、同じく高反応性のスズ二価化学種(スタンニレン)とが隣接した中間体1の発生に成功した。これは炭素-スズ三重結合化学種と見なすことが出来る。 始めに立体保護を受けたスタンニレンにシリルジアゾメチル基を導入した前駆体化合物アリール(シリルジアゾメチル)スタンニレン(2, ArSn-C(N_2)-SiR_3)を合成した。前駆体2は対応するクロロアリールスタンニレンとジアゾメチルリチウムの反応で得られる。ここでアリール基としては高い立体保護効果が期待出来る2, 6-ビス(1, 3, 5-トリイソプロピルフェニル)フェニル基を採用した。またシリル基としてはトリメチルシリル基およびトリイソプロピルシリル基を使用した。(これ以降、トリメチルシリル基を使用した場合は化合物番号にaを、またトリイソプロピルシリル基の場合はbを付して略称する。) ベンゼン中での2aの光分解により、予期せぬ生成物としてスタンニル基が置換したスタンニレン3が赤色結晶として高収率で得られた。ジアゾメタン2aの光分解により、期待通りスタンナアセチレン1aが発生したと推定される。しかし、1aはカルベンとしてのキャラクターを強く残しており、非常に反応性が高い。このため、分子内で挿入反応をおこした後で二量化が起こり、さらに複雑な分子内転位反応により最終的にスタンニルスタンニレン3を与えたものと推定される。 一方、2bの光分解ではこのような二量化は起こらず、イソプロピル基のC-H結合にカルベンが挿入した生成物を与えた。このように非常に高反応性を有する中間体においても若干の置換基の違いにより反応経路が著しく変わることを明らかにした。
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Research Products
(7 results)