2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体の多核化による電子的、構造的ダイナミクスの発現
Project/Area Number |
20036022
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
近藤 満 Shizuoka University, 機器分析センター, 准教授 (80254142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 榮一 静岡大学, 理学部, 客員教授 (30034010)
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Keywords | 多核金属錯体 / 単結晶構造 / チューブ骨格 / 水素結合ネットワー / 酸化還元特性 / ソルバトクロミズム / 配位高分子 |
Research Abstract |
ジフェニルキノンメチド(dqm)型の配位子は大きな共役系を有することが知られて、錯体化した場合に特殊な電子構造を発現することが期待される。dqm骨格状にカルボキシル基を2つ有するcocdmを用い、ヘリカルなチューブ骨格を有する亜鉛錯体およびニッケル錯体を単離することに成功した。単結晶X線構造解析により、これらの錯体は、2分子のcocdmが配位したカチオン性亜鉛錯体ユニットとアニオン性のアクア亜鉛錯体ユニットの2種のユニットから成ることが分かった。それらの2種のユニット間は水素結合によって連結され、多核構造体を構築している。この配位子cocdmはキノン構造を有しており、酸化還元活性を有する。そのため、cocdmを配位子とする本錯体も酸化還元活性を発現することが期待される。CV測定により酸化還元活性の評価を行ったところ、配位子のみの場合と錯体の場合とで同様の酸化還元活性を有していることが明らかとなった。この錯体は紫外可視吸光測定ではソルバトクロミズムを示すことがわかった。配位子だけでも吸光波長のシフトは見られるが、錯体ではシフト幅が非常に大きく、錯形成による発色効果が発現したと推定される。
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