2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20036025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 康之 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (30144330)
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Keywords | Nヘテロ環カルベン / 長鎖アルキル基 / テトラエチレングリコール / ホスフィン / 鈴木-宮浦カップリング / 塩化アリール |
Research Abstract |
Nヘテロ環カルベン(NHC)配位子は, その強い電子供与性のため, 金属へ強く配位することが知られている。そのため, 超分子相互作用を有するナノサイズ部位を導入するには最適な配位子である。本年度は, 長鎖アルキルおよび長鎖テトラエチレングリコール(TEG)部位をNHC配位子に導入し, 新規ナノサイズNHC配位子を合成した。これらの長鎖置換基はそのファン・デル・ワールス相互作用により, 触媒中心の周辺に触媒中心を包むように緩やかに凝集する傾向があった。本年度はこのNHC配位子-パラジウム触媒を用いる鈴木-宮浦カップリング反応を行った。そして, 触媒活性と長鎖置換基の金属交換過程に与える影響を検討した結果, 極めて効率的な元素相乗効果を有する新規ナノサイズ分子触媒の開発に成功した。しかし, 本触媒系においては, 臭化アリールの活性化に成功したものの, より入手容易で安価な塩化アリールの活性化を達成することが出来なかった。そのためさらに, 長鎖アルキルおよび長鎖テトラグリコール基を有するホスフィン配位子の設計・合成も行った。これらの配位子はリン原子近傍は通常のトリフェニルホスフィンと類似の環境を有しているが, 配位子の外郭部にそれぞれ疎水的あるいは親水的な部位を持つという極めて特徴ある構造を有していた。これらの疎水および親水的な触媒空間での強い元素相乗系相互作用の発現, またミセル, 逆ミセル中での挙動について研究を行った。その結果, テトラグリコール基を有するホスフィン配位子を配位子に用いたパラジウム触媒を使うことにより, 塩化アリールの鈴木-宮浦カップリングに成功した。今後はその反応機構の解明に着手する予定である。
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Research Products
(4 results)