2008 Fiscal Year Annual Research Report
オキソ架橋ルテニウム4核錯体の元素相乗効果を利用した新規触媒機能の解明
Project/Area Number |
20036026
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 輝幸 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (20211914)
|
Keywords | 触媒 / オキソ錯体 / クラスター / ルテニウム / アルコール / 酸素酸化反応 / 空気酸化反応 / 元素相乗効果 |
Research Abstract |
我々は既に、独自に合成した0価ルテニウム錯体Ru(η^6-cot)(η^2-dmfm)_2[cot=1, 3, 5-cyclooctatriene, dmfm=dimethyl fumarate]の高い酸素原子親和性を利用し、「水」との化学量論反応について詳細な検討を行った結果、dppe[1, 2-bis(diphenylphosphino)ethane]共存下では、キラルな新規0価ルテニウムアクア錯体Ru(η^2-dmfm)_2-(dppe)(H_2O)が得られることを、一方、リン配位子を添加しない場合には、水の活性化が起こった新規オキソ架橋ルテニウム4核錯体が高収率で得られることを見出し報告している。 そこで本研究では、このオキソ架橋ルテニウム4核錯体の元素相乗効果を利用した新しい触媒機能の解明を目的とし、アルコールの高選択的酸化反応用触媒としての可能性について検討した。 遷移金属錯体触媒を用いるアルコールの酸化反応は有機合成上有用であり、酸化剤として酸素、さらには空気を用いる酸化反応は、副生成物として水のみが生成する「環境調和型酸化反応」として重要である。本研究では、まず、新規オキソ架橋ルテニウム4核錯体が、第一級アルコールのアルデヒドへの、また第二級アルコールのケトンへの高選択的「酸素」酸化反応に高い触媒活性を示すことを見出した。きらに、本酸化反応は酸素下のみならず、空気下(1 atm, balloon)でも良好に進行し、ベンジルアルコールからはベンズアルデヒドが、またジフェニルメタノールからはベンゾフェノンがそれぞれ収率87%、93%で得られた。反応後の過酸化水素の有無、および反応中の酸素消費量の定量により、反応機構についても考察を行った。以上の様なオキソ架橋ルテニウム4核錯体の高い触媒活性は、4つのルテニウム原子が創る特異な配位空間と元素相乗効果・協同効果によってのみ発現する。
|
Research Products
(10 results)