2009 Fiscal Year Annual Research Report
オキソ架橋ルテニウム4核錯体の元素相乗効果を利用した新規触媒機能の解明
Project/Area Number |
20036026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 輝幸 Kyoto University, 先端医工学研究ユニット, 教授 (20211914)
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Keywords | 触媒 / オキソ錯体 / クラスター / ルテニウム / 元素相乗効果 / インドール / 2-クマラノン / 酸化的環化反応 |
Research Abstract |
我々は既に、独自に合成および単結晶X線構造解析に成功した新規オキソ架橋ルテニウム4核錯体が第一級アルコールからアルデヒド、および第二級アルコールからケトンへの「空気」酸化反応に高い触媒活性を示すことを見出し報告している。本年度は、まず、本クラスター錯体と二座ホスフィン配位子dppbz[1,2-bis(diphenylphosphino)benzene]とを組み合わせた新規ルテニウム触媒系が、2-アミノフェネチルアルコール類の分子内酸化的環化反応に高い触媒活性を示し、対応するインドール誘導体が高収率かつ高選択的に得られることを見出した。本反応は、酸素雰囲気下(インドール収率:91%)のみならず、空気下(80%)でも進行し、さらに興味深いことにアルゴン雰囲気下(85%)でも良好に進行した。従って、本環化反応は酸化剤を必要としない脱水素型の反応であり、実際、アルゴン雰囲気下での反応後のガス分析により、2-アミノフェネチルアルコールと等量の水素の発生を確認した。 一方、アミノ基をヒドロキシル基に替えた2-ヒドロキシフェネチルアルコール類の分子内酸化的環化反応についても詳細な検討を行った。その結果、上記クラスター触媒系よりも、単核のRuCl_2(PPh_3)_3錯体が高い触媒活性を示したが、当初予想した2,3-ベンゾフラン誘導体は全く得られず、2-クマラノン誘導体が高収率で得られることを見出した。すなわち、本反応では、まず、2-ヒドロキシフェネチルアルコールのルテニウム触媒脱水素反応により、2-ヒドロキシフェニルアセトアルデヒドが生成し、続いて、ヒドロキシル基のアルデヒドへの分子内求核付加反応が起こりヘミアセタールが生成、その後、「脱水」ではなく「脱水素」反応がもう一度起こり、対応する2-クマラノン誘導体が得られると考えられる。
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Research Products
(8 results)