2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20036027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森崎 泰弘 Kyoto University, 工学研究科, 講師 (60332730)
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Keywords | 光学活性高分子 / リン原子 / 金属配位 / 不斉 / 高次構造 |
Research Abstract |
本年度は、まず不斉リン原子含有光学活性高分子の合成を行い、得られた高分子の構造を解析すると同時に、遷移金属との錯形成による高次構造変化ならびに集合体を各種分光法および電子顕微鏡により観察する。具体的には以下に説明する不斉リン原子含有光学活性高分子の合成を行った。 ・不斉リン原子含有光学活性高分子の合成 鍵モノマーとして光学活性なビスホスラィンを用いた。この化合物はホスフィンにボランが配位していることにより、ホスフィンが酸化に対して安定であるだけでなく、アルキルリチウム試薬でホスフィン上のメチル基が容易にリチオ化される。その後、臭化ベンジル誘導体との重縮合による直鎖型光学活性高分子の合成および、光学活性デンドリマーの合成を試みた。 リン原子上のボランの除去は容易であり、DBUに代表される強塩基性3級アミンで処理することにより容易に除去できる。その後、得られた光学活性高分子の高次構造を詳細に評価した。その結果、パラジウムを配位させた時とプラチナを配位させた時とで光学的性質が大きく異なることがあきらかになった。特に、パラジウムを配位させた場合、高分子主鎖に不斉環境が誘起され、CDスペクトルにコットン効果が現れたことから、らせん構造に代表される光学活性な高次構造を有することが明らかとなった。 また、光学活性ビスホスフィンを重合開始剤として用い、メタクリル酸エステルのアニオン重合を試みたところ、反応は良好に進行し、対応する光学活性なポリメタクリル酸エステルが得られた。本ポリマーも開始剤由来の光学活性な高次構造を有していることが明らかとなった。
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