2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20036030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 佳亮 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (60346088)
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Keywords | ケイ素 / シリカート / 遷移金属 / 分子内配位 |
Research Abstract |
有機ケイ素化合物は, ケイ素が天然に豊富に存在するため入手が容易なうえ, 一般に毒性が低く安定なため, 調製・保存・取り扱いが容易な合成反応剤としてきわめて魅力的である. しかしながら, きわめて安定がゆえに反応性が低いテトラオルガノシランをそのまま炭素求核剤として利用できる実用的な例は限られており, 有機合成反応剤としての汎用性はあまり高くなかった. このような背景から申請者は, オルガノ[(2-ヒドロキシメチル)フェニル]ジメチルシランを用いた遷移金属触媒反応をこれまでに開発してきた. 本ケイ素反応剤は, テトラオルガノシランであるためきわめて安定でありながら, 水酸基の分子内配位によって容易に5配位シリカートを形成できるため, 従来用いられてきたケイ素反応剤に比べ, きわめて温和な条件下でトランスメタル化が進行し, 交差カップリング反応やカルボニル付加反応に利用できることを報告している. 本研究では, これを用いた効率的分子変換のさらなる展開と, これをさらに修飾することによって, 高配位シリカートの形成や遷移金属へのトランスメタル化あるいは酸化的付加による炭素-ケイ素結合の活性化が容易で, 飛躍的に反応活性な「機能性ケイ素反応剤」およびこれを用いる新反応の開発をおこなっている. 本年度は, 同ケイ素反応剤を用いる交差アルキルカップリング反応を検討した. まず, [(2-ヒドロキシ-2-プロピル)フェニル]トリメチルシランといろいろなハロゲン化アリールとのパラジウム触媒交差カップリング反応がメチル基選択的に進行して, 対応するメチル化体が収率よく得られることを見つけた. さらに, ケイ素上のメチル基2つをイソプロピル基に変えると, 第一級アルキルシラン反応剤の交差カップリング反応が, パラジウム/銅触媒存在下進行することも見つけた. いずれの反応も, リン酸三カリウムを塩基に用いる比較的穏和な条件で進行するので, 従来のアルキルシラン反応剤の交差カップリング反応では難しかったシリル保護基を有する基質もこれを損ねることなく反応できるようになった.
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Research Products
(1 results)