2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属ポルフィリノイド-典型元素間の結合形成と反応性を支配する配位子効果
Project/Area Number |
20036032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 高史 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (20222226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 貴史 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (50432521)
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Keywords | ポルフィノイド / 金属錯体 / 14族元素 / 遷移金属 |
Research Abstract |
本研究では、遷移金属-典型元素結合の反応性における遷移金属上の配位子の効果を系統的に明らかにすることを目的して、テトラピロール系配位子を有するコバルトおよびニッケル錯体を取りあげ、中心金属上での14族元素との結合生成および結合後の反応性を検討した。特に本年度は、遷移金属に対する配位子効果を系統的に検討するために、ポリフィリンに代表されるテトラピロール系配位子に着目した。テトラピロールは、ピロールの配列の仕方を変える、あるいは側鎖の置換基導入により、様々な構造・電子状態を取る。そこで、まず、複数の酸化数およびスピン状態を取りうるコバルト錯体に注目し、ポルフィリノイドコバルト-14族元素との結合生成を試みた。ポルフィリノイドとしては、いわゆるポルフィリンとその異性体のポルフィセンを合成し、コバルト錯体とジアゾアセテートとの反応を追跡し、カルベン発生の挙動を精査した。その結果、コバルトポルフィリンは、通常のカルベン反応が進行し、オレフィンのシクロプロパン化が進行するが、コバルトポルフィリンは、Co=C結合が形成した後に、反応性が高すぎるため、分子内でのCo-C-N(pyrrole)架橋結合が形成する極めて興味深い反応を見出した。この構造は、Mass及びUV-visによって、同定した。このように、配位子の構造を若干変化させただけで、金属錯体の反応性が劇的に変化することが明らかとなり、ポルフィセンの反応性を活かした新たな金属錯体の触媒反応への応用が期待されることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)