2008 Fiscal Year Annual Research Report
多元素相互作用による活性金属種の創出と性状の緻密制御
Project/Area Number |
20036036
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 誠 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40273601)
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Keywords | 合成化学 / ルイス酸 / 錯体 / ゲルマニウム / インジウム / ガリウム / カップリング反応 / ケイ素 |
Research Abstract |
有機化合物の官能基変換において、多元素相互作用を基軸とするコンセプトにもとづき、下記3種の系を実施し、以下に示す成果を得た。 1)ガリウム-酒石酸相互作用による反応開発 ガリウムと酒石酸を共触媒とする反応系において、アルコールの直接塩素化に成功した。ここでは、これらの触媒およびケイ素反応剤との相互作用により、通常ではおこらない基質活性化を達成し、触媒的な塩素化反応を可能とした。 2)ゲルマニウム-ヘテロ元素相互作用による反応開発 低原子価ゲルマニウムを還元剤とし、「ハロアルデヒドとアルデヒド」、もしくは「ハロアルデヒドとイミン」のカップリング反応を行った。この結果、高いゲルマニウムの還元力と、低いルイス酸性(作用時点では4価ゲルマニウム)を利用した形式の反応が実現した。分子軌道計算によりこれらのゲルマニウムの特性を詳細に解明することに成功した。 3)インジウムケイ素相互作用による反応開発 インジウム触媒を用いることで、アルケニルシランを反応剤とするアルコールの直接アルケニル化に成功した。ここでは、インジウムとケイ素の相互作用が考えられ、広い基質適応範囲が示された。また、ヒドロシラン存在下、インジウム触媒による、エステルを出発とするFriedel-Crafts反応を達成した。ケイ素反応剤とインジウムの協同的作用が本反応の鍵であることを解明した。 以上のように、多元素の相互作用を利用して、本来の元素が有する性状を変化させ、各反応にマッチングした活性反応種を創出し、新反応開発に成功した。
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