2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20036041
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
成田 吉徳 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 教授 (00108979)
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Keywords | 酸素分子活性化 / 銅錯体 / 鉄ポルフィリン / ペルオキソ体 |
Research Abstract |
(1) 銅-ヘム鉄三核錯体還元体における酸素付加体の形成と反応性 : 銅側の配位子がN3である[(bepa)Cu^I]+を共有結合した鉄(II)ポルフィリン錯体は酸素との反応により低温にてμ-η^2 : η^2-ペルオキソ錯体を生成する。このside-on型ペルオキソ構造は共鳴ラマンより確認された。 (2) このペルオキソ錯体へ低温を保ちナトリウムフェノラートを添加すると瞬時に紫外可視スペクトルの変化を示し、錯体構造が変化したことが確認された。昇温後、溶液を酸処理し、抽出後、反応混合物にカテコールが含まれることを確認した。一方、その他の有機基質(オレフィン、スルフィド等)をこのペルオキソ錯体に添加してもスペクトル変化や酸化生成物の生成は認められなかった。これらの結果より、フェノラートがペルオキソ架橋の銅-鉄二核錯体に対して特異的にペルオキソ架橋を活性化し、酸化反応を起こすことが明らかとなった。これにより、新たな酸素活性化反応として展開に道を拓いた。 (3) チトクロムc酸化酵素の化学モデルにおける酸素活性化反応 : 既に合成した、配位子にTyr-His等価休を含む銅錯体およびイミダゾール軸配位子を鉄ポルフィリンに共有結合させた酵素活性中心化学モデルを用いて合成した鉄(III)ペルオキソ/銅(I)錯体溶液へ酸を低温下で添加することにより鉄(III)ヒドロペルオキシ錯体の生成を行った。反応は瞬時に起こり、対応する鉄(III)ヒドロペルオキシ錯体は瞬時にO-O結合解裂生成物(LFe^<IV>=OおよびLCu(II)-OH)を与える事が、酸素活性化が鉄(III)ヒドロペルオキソ錯体経由であることを実証した。
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