2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸素および硫黄原子で架橋した二核遷移金属錯体の創成と機能解明
Project/Area Number |
20036044
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊東 忍 Osaka University, 工学研究科, 教授 (30184659)
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Keywords | 酸素錯体 / 硫黄錯体 / 二核銅錯体 / 二核ハッケル錯体 / 酸素活性化 / 硫黄活性化 / 酸素添加反応 / 硫黄添加反応 |
Research Abstract |
生体内には二核遷移金属活性中心を有する金属タンパク質が数多く存在し、酸素分子の運搬や活性化、プロトンの還元、水の酸化、各種有機化合物の酸化および酸素化、電子移動反応など様々な反応を司っている。多くの場合、二つの遷移金属イオンが酸素や硫黄原子で架橋された菱形のコア構造を有しており、それらの構造や分光学的特性および反応性に多くの関心が寄せられている。本研究では、このような酸素および硫黄架橋遷移金属二核構造を精密に再現する錯体を合成し、それらの構造および酸化還元機能の解明を行った。特に架橋基である酸素や硫黄原子の電子構造や金属イオンとの酸化還元相互作用について詳細に検討を加え、新しい複合型元素相乗系化合物の創成と機能解明および応用をめざした。平成21年度の研究実績は下記の通りである。 (1) (μ-η^2:η^2-ジスルフィド)二核ニッケル(II) 錯体の合成:各種アミン系三座および四座配位子を用いて調製したニッケル(II)錯体とNa_2S_2との反応による(μ-η^2:η^2-ジスルフィド)二核ニッケル(II)錯体を合成した。得られた錯体についてはX線結晶構造解析により詳細な構造を明らかにするとともに、紫外可視吸収スペクトルや共鳴ラマンスペクトルを測定し、構造と分光学的特性の相関関係や、それに及ぼす配位子の効果を明らかにした。 (2) 外部基質との反応:合成した各錯体とボスフィン類などの外部基質との反応について系統的に検討を加え、酸素原子添加反応や硫黄原子添加反応などを見いだし、速度論的検討や同位体標識実験などを駆使して、反応機構を解明した。
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