2008 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属と希土類金属の組み合わせによる高性能な発光・磁性材料の開発
Project/Area Number |
20036045
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
篠田 哲史 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00285280)
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Keywords | 光物性 / 超分子化学 / 分子認識 / 近赤外光 / 希土類錯体 / 発光プローブ / 複核錯体 |
Research Abstract |
多座配位子を利用したd-f複核錯体構築法を利用して、希土類イオンと遷移金属イオンを近傍に固定化した複核錯体の実現を試みた。ニッケル、マンガン、銅イオンとはそれぞれ化学量論的に錯形成し、対称性の高いd-f複核錯体が得られることを明らかにした。結晶構造解析は結晶の不安定さのために成功に至っていないが、元素分析等による成分解析から複核錯体の生成を確認した。今後得られた錯体の示す磁性についても研究を進めて行く予定である。 レニウム(V)や白金(II)イオンとは収率よく二核や三核のd-f混合錯体を与え、それらの溶液内構造はNMRやマススペクトルを用いて明らかにした。9配位希土類錯体部位には側鎖のねじれ方向に由来する錯体キラリティーを有しており、溶液中でもねじれた三次元構造を保持していることを見出した。レニウムー希土類複核錯体は、水などの極性溶媒中でも強い近赤外発光を示した。いずれも高いカチオン性を示し、溶液中でアニオンと強く相互作用することから、発光や円二色性スペクトルを利用した高感度センシングへの応用を図った。近赤外発光を利用した生体分子の高感度測定や特徴あるセンシング法の実現が可能になるものと考えている。また、本年度導入したレーザー光源を利用して希土類発光の寿命測定を行い、溶液中でも極めて長い寿命と発光量子収率をもつことを確認したほか、発光メカニズムの詳細を明らかにした。特に白金一希土類複核錯体は、DNAとの強い相互作用が認められたため、今後発光やCD応答を利用したセンシングへの展開を図る。
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Research Products
(10 results)