2008 Fiscal Year Annual Research Report
窒素および酸素をドナー原子として有する混合金属クラスターの合理的合成法の確立
Project/Area Number |
20036046
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
石井 洋一 Chuo University, 理工学部, 教授 (40193263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 雄一郎 中央大学, 理工学部, 助教 (50453676)
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Keywords | シアナミド / コア拡張 / ホスフィナト / 架橋錯体 |
Research Abstract |
従来未利用だった窒素・酸素ドナー性架橋配位子を利用して、安定でかつ特徴ある三次元構造を持った多核錯体を精密合成する方法を開発することを目指し、シアナミドクラスターのコア拡張反応並びにホスフィナト架橋多核錯体系の新規合成を中心に検討を行なった。まず、シアナミド架橋を持つイリジウムの二核錯体[Cp*Ir(μ_2-NCN)]_2(1)に対して[Cp*IrCl_2]_2を反応させると末端窒素原子に対する配位が進行し、μ_3-κN, κN, κN'型のシアナミド配位子を含む四核錯体[(Cp*lr)_2(μ_3-NCN)_2(IrCp*Cl_2)_2](2)が生成することを見出した。2のμ_3-NCN-N, N, N'位子は、シアナミド架橋の中でもμ_3-シアノイミド型の構造を持つ初めての例である。2にさらにNCN^<2->を反応させると1へ変換されることから、2は[Cp*hCl_2]_2から1へ至る中間体と見ることもできる。また、1と[PdCi(allyl)]_2との反応ではキュバン錯体[Cp*lr(μ_3-NCN)]_4(3)を経由して八核錯体[(Cp*lr)_4(μ-NCN)_4{PdCl(allyl)}_4](4)などが生成したが、3を[Pd(allyl)(acetone)_n]^+と反応させた場合にはキュバンコアの開裂が起こり、[(Cp*Ir)_2{Pd(allyl)}(μ_3-NCN)_2]^+が生成した。キュバンコアの開裂を伴うクラスター生成は珍しい反応である。さらに、1のホスフィン付加体[{(Cp*Ir)(μ_2-NCN)}_2(dppm)]に対して[PdCl(allyl)]_2あるいは[MCI(cod)]_2(M=Rh, Ir)を反応させた場合には、やはり末端窒素原子への配位が進行して[(Cp*Ir)_2(μ_3-NCN)_2{RhCl(cod)}_2(dppm)]などの四核錯体が生成した。これらの結果はシアナミド架橋の構造制御法の指針となるものである。一方、後周期金属のホスフィナト錯体合成にはメトキソまたはヒドロキソ錯体とホスフィン酸との反応が有効であることを見出し、ホスフィナト二架橋および三架橋の二核錯体[M(μ_2-Ph_2PO_2)(cod)]_2(M=Rh, Ir)、[(Cp*Rh)_2(μ_2-Ph_2PO_2)_3][BPh_4]が得られることを示した。
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Research Products
(4 results)