2009 Fiscal Year Annual Research Report
ジアミノホスフィンオキシドを基盤とする高性能遷移金属触媒の開発
Project/Area Number |
20037007
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
根本 哲宏 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 講師 (80361450)
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Keywords | ジアミノホスフィンオキシド / 触媒的不斉合成 / キラルアレン / アリル位置換反応 / スピロ炭素構築 / パラジウム |
Research Abstract |
2年度目となる本年の結果は以下の様にまとめることが出来る。まず、初年度目ににて反応系を確立したジアミノホスフィンオキシドーPd触媒系を用いるキラルアレン類の不斉合成法に関しては、反応機構解析を詳しく行う事により、Pd触媒とLi塩触媒の協同的な機能により動的速度論分割の機能が促進され、結果として高いエナンチオ選択性が発現している事が明らかとなった。また、ジアミノホスフィンオキシドーPd触媒系を用いるアリル位アミノ化反応を用いることにより、抗がん活性天然物の不斉全合成にも成功している。その他めキラル2級ホスフィシオキシド配位子の開発に関しては、合成検討を行ったものの光学的に純粋な化合物として得られるもの自体が限定的で、それらを不斉配位子として用いたものの、単純なアリル位置換反応にて50%程度のエナンチオ選択性にて得られるにとどまった。一方で、イプソーフリーデル-クラフツ型のアリル位置換反応を用いるスピロシクロヘキサジエノン類の合成に関しては、反応条件の詳細な検討により、リン配位子の構造が反応性、及びジアステレオ選択性に大きな影響を与えることが明らかとなった。また、基質一般性の検討の結果、6員環-5員環連結型の合成には有効であることがわかったが、その他の環システムの合成には適用できないことがわかった。さらに、触媒的不斉反応への応用も検討し、様々なキラル配位子のスクリーニングを行った結果、最高で92%eeにてスピロ4級炭素中心を構築することに成功した。
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