2008 Fiscal Year Annual Research Report
P-キラルホスフィンの特性を活かした不斉協奏機能触媒の開発
Project/Area Number |
20037009
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
今本 恒雄 Chiba University, 名誉教授 (10134347)
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Keywords | 協奏機能機能触媒 / 不斉錯体触媒 / 触媒的不斉合成 / 不斉複核錯体 / 光学活性化合物 / ホスフィンボラン / ロジウム錯体 / パラジウム錯体 |
Research Abstract |
リン原子上に不斉中心を有するホスフィンの特性を活用して超高効率かつ超高エナンチオ選択性を発現する「不斉協奏機能触媒」を開発することを目的として研究を行った。 課題のひとつは, 光学活性4座ホスフィン配位子を用いて複核遷移金属錯体の合成と触媒活性評価であり, 本年度は2核ルテニウム錯体および3核パラジウム錯体を合成し, それらの分子構造を単結晶X線解析により明らかにした。また, それらの金属間相互作用による新たな触媒活性の発現を目ざして種々検討を行った。しかし, まだ明確な協奏機能を観測するには至っていない。 また一方において, パラジウムーパラジウム結合を有する光学活性ホスフィン錯体の不斉触媒能について検討した。最初にアザベンゾノルボルナジエンとジメチル亜鉛の不斉開環反応で検討した結果, 生成物が良好な収率(72-77%)で50-72%の鏡像異性体過剰率で得られた。この反応系にトリフルオロメタンスルホン酸銀を添加した結果, 著しい反応加速効果が見られ, 収率も向上した。この反応加速は, より反応性の高いパラジウムカチオン種の生成によるものと考えられる。さらに本触媒反応を様々な置換基を有するアザノルボルナジエンに適用した結果, 最高99%のエナンチオ選択性が確認された。これらの結果は, D_2対称二核パラジウム錯体を触媒的不斉合成に用いて成功した最初の例である。
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Research Products
(3 results)