2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化によりビルドアップされる高次構造不斉触媒の機能開拓
Project/Area Number |
20037014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 求 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (20243264)
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Keywords | 多核不斉触媒 / 高次構造 / シアノ化 / 共役付加 / 触媒的不斉反応 / Diels-Alder反応 / バリウム / タミフル |
Research Abstract |
高次構造構築を意識して設計した多核不斉希土類触媒が、エノンに対する触媒的不斉共役シアノ化反応を促進することを見出した。完璧な共役付加選択性は、TBSCNを求核剤とすることで多核錯体がTBS化されている点と、たとえ1, 2付加が進行したとしても不斉触媒がレトロ反応を促進して原料エノンに戻す働き(proofreading ability)を兼ねそなえている点に起因することが分かった。本反応は、世界初かつ現在のところ唯一のエノンに対する触媒的不斉共役シアノ化反応である。また、同一の不斉配位子とバリウム金属からなる多核錯体が、シロキシジエンとフマル酸ジエステルとの間のDiels-Alder反応を高エナンチオ選択的に促進することを見出した。本不斉多核触媒は、ジェンを活性化するHOMO-raising機構で反応を進行させる。また触媒の構造論的研究から、活性触媒はバリウムと不斉配位子の3 : 3錯体であることを明らかとしている。本反応開発を基盤として、抗インフルエンザ薬タミフルの短工程不斉触媒合成ルートを確立した。本合成では、不斉Diels-Alder反応のほか、Curtius転位とパラジウム触媒によるエステル等価体によるアリル位置換反応を鍵工程として用いている。
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