2008 Fiscal Year Annual Research Report
不均一触媒反応の理解を目指した理論・計算化学手法の開発
Project/Area Number |
20037015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛山 浩 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (40302814)
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Keywords | 不均一触媒 / 理論化学 / 計算化学 / 化学反応論 / 化学反応動力学 / プロトン移動 |
Research Abstract |
本研究課題では, 具体的な不均一触媒反応の例として固体酸触媒(ナノシート触媒)におけるアルコールの脱水反応を取り上げ, 不均一触媒表面構造や表面での反応機構に関する研究を進めてきた. 固体酸触媒は, 生成物との分離, 中和, 塩の除去といった問題点を解決するグリーンケミストリーの観点からも好ましい物質である. 近年, 層状金属酸化物の層を剥離して得られる酸化物ナノシートが固体酸触媒として機能することが東京大学工学部化学システム工学科の高垣・堂免らによって発見され注目されている. しかし, 実験だけでは表面上の強酸点や水素の位置等は分からない. 特に触媒表面を動いていると考えられている水素に関しては, 2次元結晶を通り抜けているのではないかとも言われており, ナノシート上のプロトンの位置や運動に関する理論的な解明が強く望まれていた. そこで, 我々はこのナノシート固体酸触媒が2次元の結晶構造を有するという特徴を活かし, 量子化学計算と周期境界条件下で密度汎関数法を用いて基底状態の電子状態を決定できるいわゆるバンド計算法を駆使して, ナノシート構造や表面での反応機構を理論的に解明した. さらに, 表面や固体内でのプロトンの運動に関する研究を行い, 上記の問題にアプローチしてきた. その結果, 表面構造に関しては実験事実を再現するモデルを構築することができた. また, 従来実験で言われていた場所とは異なる場所が酸点であるのではないかと計算で示した. 表面のプロトンの運動に関しては, 異動に必要な活性化エネルギーがかなり高いことが数値計算で示されたため, 実際にこの触媒の表面を自由にプロトンが移動することは無いのではないかと考えている. さらに, 表面でのプロパノールの脱水反応に関しては, 隣り合う2つのサイトがブレンステッドの意味で酸点と塩基点になっており, 競争的に水素の移動反応が起こり, 反応が進むことを示した.
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Research Products
(1 results)