2008 Fiscal Year Annual Research Report
NMR・DFTを組み合わせた協奏機能触媒の反応機構の解明
Project/Area Number |
20037020
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
ILYA GRIDNEV Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特任准教授 (60374906)
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Keywords | 化学物理 / 化学計算 / 遷移金属錯体 / 触媒化学 / 反応機構 / NMR / 触媒サイクル / DFT |
Research Abstract |
最近、我々は3つの象限を遮蔽するキラルジホスフィン配位子のロジウム錯体を触媒として用いて、α-デヒドロアミノ酸の不斉水素化における立体選択性発現機構に関する研究を行った。その結果、このRh触媒(1)を用いた不斉水素化の選択性発現機構は現在広く受入れられているものと大きく異なることが明らかになった。特に重要な違いは立体選択性発現段階であり、我々の研究では、H_2のRh(I)への酸化的付加の段階ではなく、炭素-炭素二重結合のRh-Hへの挿入段階で決定されると結論づけられた。また、溶媒も重要な役割を果たしていることがNMR実験およびDFT計算で明らかとなった。 このRh(I)錯体触媒は、α-デヒドロアミノ酸のみならず、β-デヒドロアミノ酸等の他の基質の不斉水素化にも適用でき、多くの場合ほとんど完壁な立体選択性が観察されている。本研究の目的は、広範な種類の一連の基質を用いて、3つの象限を遮蔽するキラルジホスフィン配位子のロジウム錯体触媒不斉水素化における立体選択性発現機構の一般的な理解を確立することである。すなわち、今回は、β-デヒドロアミノ酸の不斉水素化に焦点をあて、E-およびZ-体の二つの異性体を用いて、NMR実験により触媒-基質錯体の構造を解明し、実験結果を反映するDFT計算も行い、立体選択性発現機構を明らかにした。
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