2009 Fiscal Year Annual Research Report
非ヘム鉄型二核鉄及び銅酸素錯体の反応場による協奏的機能制御
Project/Area Number |
20037025
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 正樹 Kanazawa University, 物質化学系, 教授 (20091390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古舘 英樹 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (40332663)
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Keywords | 酸素活性化 / 酸化反応 / 水酸化反応 / 二核鉄酸素錯体 / 二核銅酸素錯体 / 活性酸素種 / 協奏的機能 / 生物無機化学 |
Research Abstract |
生体系にはトルエンをクレゾールへ,またメタンをメタノールへと水酸化する酸素活性化二核或いは多核金属酵素がある。これらアレーン類及びアルカン類の水酸化反応機構は全く異なっている。すなわちアレーン類の水酸化反応は親電子的反応で,一方,アルカン類の水酸化反応は水素原子引抜き反応で進行する。しかし,二核鉄酵素であるtoluene monooxygenase (TMO)とmethane monooxygenase (MMO)の活性中心の構造は非常によく似ているが,これら酵素は全く異なった反応性を持っている。本研究では,TMO及びMMOの機能モデル錯体の創製を目的として幅広い酸化反応性を持つ二核鉄(III)及び銅(II)ペルオキソ錯体の創製を目的とした。その結果,下記のことが明らかとなった。 キシリル架橋基を有する(μ-η^2:η^2-peroxo)二核銅(II)錯体で,世界に先駆けて親電子的反応によるキシリル基の水酸化及びスチレンのエポキシ化,さらに様々なC-H結合エネルギーを持つ脂肪族炭化水素の水素原子引抜き反応を行うことが可能な幅広い酸化反応性を持つ二核銅ペルオキソ錯体の合成に成功した。また,キシリル架橋基をブチル架橋基に変えることにより,酸化反応性が約100倍程度増大することが明らかになりつつあり,今後更なる酸化反応性の向上を目指し,新規配位子の分子設計と詳細な反応機構の解明を行う予定である。 さらに二核鉄(III)ペルオキソ錯体でも配位環境の立体的・電子的制御により,可逆的酸素化に加え,配位子に組込んだフェニル基及びメチル基の水酸化反応,さらに外部基質であるトルエンのメチル基の水酸化反応など,幅広い酸化反応性を見出しており,今後様々な外部基質の酸化反応を調べることが可能になりつつある。
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Research Products
(6 results)