2008 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-水素結合活性化のための協奏機能触媒の開発と応用
Project/Area Number |
20037026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊丹 健一郎 Nagoya University, 理学研究科, 教授 (80311728)
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Keywords | 分子触媒化学 / 炭素-水素結合 / 遷移金属錯体触媒 / 合成化学 |
Research Abstract |
本研究では、炭素-水素結合を活用した触媒的有機分子連結反応の実現に取り組む。金属原子と配位子が一体として電子的に共役効果を示す協奏機能を機軸とした触媒設計により、真に優れた分子触媒を創製し、実践的な精密化学合成に新たな境地を拓くことを目指す。 既にC-H結合とC-X結合での芳香環連結反応を促進する独自のロジウム触媒反応を報告している。DFT計算を用いた機構解明研究により、ロジウム錯体と炭酸銀が協奏機能するC-H結合切断が鍵であることが示唆されていた。H20年度は「遷移金属触媒と炭酸銀による協奏機能型C-H/C-Xカップリング」を実現する他の遷移金属を探索し、カチオン性イリジウム錯体に優れた触媒作用があることを見出した。イリジウム上の補助配位子としてPCy_3が特異的に優れた配位子であることが明らかとなり、等モル量のヘテロ芳香族化合物とヨウ化アリールでの効率的カップリングを実現できた。ヘテロ芳香族化合物としてはチオフェン、フラン、ピロール、インドール、ベンゾチオフェン類を用いることができる。重水素標識した基質を用いた競争実験においては同位体効果(k_H/k_D=1.9)が観測された。マルチプルアリール化も可能な触媒系であり、拡張π電子系の迅速合成に有効である。これまでIr錯体はC-H結合アリール化触媒としてほとんど用いられてこなかったが、今回の結果はその潜在能力を十分に示すものといえる(Angew. Chem. 2009, "Hot Paper")。
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