2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-水素結合活性化のための協奏機能触媒の開発と応用
Project/Area Number |
20037026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊丹 健一郎 Nagoya University, 理学研究科, 教授 (80311728)
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Keywords | 分子触媒化学 / 炭素-水素結合 / 遷移金属錯体触媒 / 合成化学 |
Research Abstract |
本研究では、炭素-水素結合を活用した触媒的有機分子連結反応の実現に取り組んだ。金属原子と配位子が一体として電子的に共役効果を示す協奏機能を機軸とした触媒設計により、真に優れた分子触媒を創製し、実践的な精密化学合成に新たな境地を拓くことを目指した。H21年度は、以下の成果が得られた。 メチルアミン類と芳香族化合物から有用なベンジルアミン誘導体を得るC-H/C-Hカップリング反応の開拓に挑み、RuやFeを中心金属にもつユニークな新触媒を開発することに成功した。また、開発した新触媒が分子内C-H/C-Hカップリング反応に適用できることを示した。さらに合成した二環性へテロ芳香族化合物のひとつが、σ1受容体への良好なリガンドとなることを生物学的アッセイから明らかにした(Chem.Asian J. 2009,4,1416)。 へテロ芳香族化合物とハロゲン化アリールのビアリールカップリングを促進するNi触媒を見出した。例えば、Ni(oAc)2/bipy触媒はアゾール類と種々のヨウ化アリールや臭化アリールのカップリングに有効である。配位子をdppfにすると、塩化アリールやアリールトリフラートを用いたカップリングに有効な触媒となる(Org.Lett.2009,11,1733). 機能の宝庫といえる高度にアリール化されたへテロ芳香族化合物群に対する一般的な合成法を初めて開発した。これらの物質群には多数の異性体が存在するが、今回開発した合成法の出現によって、考えられる全ての異性体を選択的かっプログラムされた様式で合成することが初めて可能になった。成功の鍵は特異かつ相補的な位置選択性を有する3つのC-H結合変換触媒を開発できたことにある。ここにはこれまで見出されたことのない現象が含まれており、反応開発分野の進展に寄与するものである(J.Am.Chem.Soc.2009,131,14622)。
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Research Products
(11 results)