2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20037028
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 雅人 Nagoya University, 物質科学国際研究センター, 教授 (50169885)
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Keywords | 不均-触媒 / 磁性粒子 / アリル保護基 / ルテニウム / πアリル錯体 |
Research Abstract |
CpRu(IV)(η^3-C_3H_5)(2-ピリジンカルボキシラト)触媒は、メタノール中アリルエーテルやアリルエステル結合を切断できる。共生成物は低沸点のアリルメチルエーテルのみであり、濃縮のみで最終生成物を単離できる操作性の高い手法として「保護基の化学」の観点から注目を集めている。残る問題は触媒と生成物との分離であり、如何に触媒を除くかは有機合成効率の高低に大きく影響する。この状況を鑑み、日立マクスウェル社の協力を得、「高分散性・低保磁力・高飽和磁化率」を特徴とする球形マイクロFe_3O_4@SiO_2粒子を調製し、この粒子に上記触媒を固定化した新型の不均一系触媒を開発した。通常の磁石を用いるだけで、迅速に触媒を分離し、凝集することなく容易に再分散させることができる。分配による単離が容易でないオリゴリボヌクレオチド類やペプチド類の最終脱保護に有効であり、簡単な操作で定量的に目的物を単離できた。 本触媒において2-ピリジンカルボン酸配位子部の立体的・電子的・軌道的変化が反応活性に与える影響は大きい。触媒活性発現機構に対する理解をより深めるべく、最も単純な2-ピリジンカルボン酸を基準として、アリル2-フェニルエチルエーテルの脱アリル化における4位置換基効果をハメットプロットした。その結果、およそ二つの領域で異なる直線性が得られ、反応律速であるアルコールの求核攻撃を有利とする配位子の「π電子受容性」とドナー・アクセプター二官能性触媒発現のためのカルボン酸部の「酸性度」との適切なバランスが重要な役割を演じていることを示した。
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