2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリンの内外に2つの金属をもつ複核錯体の触媒機能
Project/Area Number |
20037034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (50281100)
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Keywords | ポルフィリン / 遷移金属 / 触媒 / 複核錯体 / ピンサー錯体 / Heck反応 / パラジウム / 白金 |
Research Abstract |
β位に1つピリジル基をもつポルフィリンに対し、白金(IV)塩を作用させると2つのポルフィリンが炭素-白金結合を介してつながった白金(IV)架橋対面型ポルフィリン二量体が得られることを見いだした。対面型ポルフィリン二量体は光合成反応中心に存在し、電荷分離の重要な機能を担っている。さらに、分子認識・小分子の活性化など、触媒や機能材料として期待されることから注目されてきた分子群であり、これまで活発に研究されてきた。しかし、炭素-金属σ結合で架橋したポルフィリン対面型2量体はこれまで全く報告されていない。得られた錯体のX線結晶構造解析から2つのポルフィリン環はほぼ平行であり、その平面間距離は3.4-3.8Aと近接していることが明らかとなった。ポルフィリン間のπ電子相互作用の結果、対面型構造を取っていると考えられる。溶液中でもこの構造は保たれており、1H NMRにおいて隣接ポルフィリンの遮蔽効果によるシグナルのシフトが確認できた。このポルフィリン二量体の遷移金属架橋部にはRedox活性があるはずであり、これは従来の有機基を架橋部位としたポルフィリン二量体と大きく異なる点である。検討の結果、メチルヒドラジンを反応させると、八面体型の配位形式を持つ白金4価が正方形の白金2価へと効率良く還元され新たな対面型二量体が生成した。X線結晶構造解析によりこの配位形式の変化に伴い、2つのポルフィリン環の配置が大きく変化していることが明らかになった。架橋部位の価数の変化に伴い2つのポルフィリン間の電子的な相互作用も変化することが電気化学測定によって明らかとなった。これら対面型二量体はそれぞれ螺旋のキラリティを持っている。キラルカラムにより各エナンチオマーを分割することに成功した。そのキラリティは溶液状態でも固体状態でも長期間安定である。さらに、光学的に純粋な白金4価錯体のM体を還元するとヘリシティの反転起こり、白金2価錯体のP体が得られることがわかった。
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Research Products
(8 results)