2008 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属/ルイス酸協奏触媒による不活性結合の新規変換反応
Project/Area Number |
20037035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 佳亮 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (60346088)
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Keywords | 遷移金属 / ルイス酸 / 炭素-水素結合活性化 |
Research Abstract |
多くの有機分子は, その表面を炭素-水素結合(以下, C-H結合と表記)によって覆われている. そのためこれを活性化して直接変換する反応は, 分子を事前に官能基化する必要がないため原子効率にきわめて優れており, 有機合成反応として理想的である. そのような観点からC-H結合の直接変換反応の開発は, 近年世界中で最も活発に研究されている研究領域の1つであり, 不飽和化合物への付加反応や, 有機ハロゲン化物や有機金属反応剤とのカップリング反応などが相次いで報告されている. しかしながら, それらのほとんどがルテニウム, ロジウム, パラジウム触媒を用いるもので, 反応性の低いC-H結合を活性化するために100℃以上の比較的過酷な反応条件を必要とする. 本研究では, 基質の配位性元素にルイス酸触媒を作用させることによって従来不活性なC-H結合を活性化し, これを穏和な条件下, 切断・変換する新しい遷移金属触媒反応の開発を行っている. 本年度は, ホルムアミドのホルミルC-H結合をニッケル/ルイス酸協働触媒によって穏和な条件下活性化し, アルキンや1, 3-ジエンを挿入させるヒドロカルバモイル化反応を開発した. アルケンに対するヒドロカルバモイル化反応は, 分子内反応が収率よく進行し, いろいろなラクタムが得られることを見つけた. ホルムアミドのカルボニル酸素がルイス酸に配位することによって形式的に正電荷を帯びた窒素のα位にあたるホルミルC-H結合の反応性が向上し, ニッケル(0)に容易に酸化的付加することによって反応が進行しているものと考えている.
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Research Products
(1 results)